essay 2024.8.7

石積を守るために (2)

僕らは、拠点を岩座神に移すプロセスの中で新築した建築物の1階の外部、ピロティに石積をつくることにした。ワークショップの形式を取り、25名ほどが参加してくれた。おもに石積を学びたい方が近畿圏から、遠くは九州からわざわざ来てくれた方も。集落の方も数名参加してくれた。石を一つづつ運び、並べていく。1人では想像もつかないような作業。あれよあれよと言う間に一日で約15m×1mの石積の擁壁が完成した。

建築の中に石積を取り入れた理由は、わたしたち自身がこれから石積を守って行くための知識と技術を身につけること。そして集落の中にも再び石積を自分たちで保全する為の力を取り戻すことだった。

石積には崩れない積み方のコツがいくつかある。「一ぐり、二石、三に積み」という言葉があって、裏側のグリ石がまず最も重要。そして石の質。最後に積み方。しっかりと石の裏側に詰めるグリ石のスペースを確保して、すぐに風化しないような石を選定すれば、技術が多少甘くても、崩れないような石積ができるという。

石積は正しく積めばとても丈夫だと言うことがわかる場所を見たことがる。約1400年前に築かれた兵庫県多可郡の東山古墳郡を見学したときに、石で積まれた古墳の奥の石室は、当時のまま崩れずに残っていて、数十年前にコンクリートと石で修繕された手前の入口は崩れていた。積んだ職人の技術的な差はあるにしても、シンプルに積まれた石は柔軟性があって、揺れに強いと言われている。コンクリートは長い月日を超えることはできない。

ワークショップを通して、技術的な学びの他に大きな気付きがあった。それは1人では途方もないように思える作業が、人数が集まることで、あっという間にできてしまうことだった。

もしかしたら大切なことは「石積を守る」のではなく、石積を積むために協力してもらえる「人との関係性を守る」ことなのかもしれない。農業はAIの進歩でより効率的に少ない人数で広い畑を管理できるようになるだろう。でもそれは関係人口を減らしてしまうことに繋がるのではないかと思う。農業は長い目線で見たらやはり人の繋がりが必要なのだと、石積を通して再確認した。

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